COMOLY 依頼者インタビュー vol.3

公開:2021年7月22日
発行:COMOLY

小さな工房から困難を抱える人たちを応援する。元ひきこもりの店主がお菓子作りをする理由

登坂真代
手作りおやつ工房とさか 店主

今回は、缶ケースのデザインとウェブ製作のご依頼をくださった手作りおやつ工房とさかの登坂さんにお話を伺いました。

工房を始めたきっかけ

ー工房を始めたきっかけを教えてください

工房は、ちょうど 3 年半ぐらい前の 2018 年 2 月から始めています。

5 年前ぐらいになりますが、私はひきこもっていた時期があり、私が元気でいられて人の役に立てるようにということで自宅の 1 階に工房を作りました。

お菓子作りは子供の頃から好きで趣味でやっていました。ひきこもって何もできなかった時期に夫にすごく支えられました。少し気分がいい日に久しぶりにお菓子を焼いて夫に感謝の気持ちを伝えたいなと思いお菓子を焼きました。

そしたらすごく夫が喜んでくれて、それがうつ状態や不安定な状態から抜け出すきっかけになりました。その後、お店をやれば、ずっとお菓子作りが続けられて、私が元気でいられるのではないかということで始めました。

COMOLY にご依頼いただいたきっかけ

ーCOMOLY を認知したきっかけや依頼いただいた理由を教えてください

私は、KHJ 全国ひきこもり家族会連合会の会員になっています。KHJ が出版している雑誌(たびだち)の編集会議にも参加しているのですが、COMOLY さんも参加されていて、そこで COMOLY さんの理念や活動内容を知りました。COMOLY さんの活動内容に共感し、私も応援したいなと思い、このたび依頼させていただきました。

ー COMOLY に製作を依頼してみてどうでしたか?

私の頭の中のイメージをうまく伝えるのが難しくて、曖昧に伝えたり、言葉がなかなか出てこなくて、結構苦労しました。

それでも、毎回毎回 COMOLY さんの対応が早く、きめ細かいところも確認してくださり、すごく安心しました。

自分自身もひきこもった経験があったので、COMOLY さんにお仕事を依頼した際に不安はありませんでした。ひきこもっている人が何もできないとか能力が無いというわけではなく、自分の能力を活かす場所がないのだと思います。COMOLY さんからも「こういうことができる方が登録している」というのも伺っていたので、安心してお任せすることができました。

ーWeb サイトを公開してみて反響はいかがでしたか?

早速みてくださった方が、お問い合わせのページからご注文くださいました。また今まで工房の活動を整理して発信することができていなく、Web サイトを公開後、長く私の活動を知っている方からも「本当に色々多岐にわたって活動されていますね」と仰っていただきました。

今後の活動について

ーいま、いろんな活動をされていると思うんですけども、未来に向けて活動や工房の方向性などを教えてください。

やりたい事は今たくさんあります。工房をはじめたときは、好きなお菓子作りが続けられたらそれで十分と思っていましたが、自分の好きなことがもっと人の役に立てていったらいいなっていう思いをより強く持つようになりました。

自分が何のためにお菓子作りをするのかなって考えたとき、誰かの活動の応援ができたり困っている人の困りごとが解消できたりと。

例えば、COMOLY さんのような活動をしている団体さんの方とコラボを実現できたらいいなと思っています。

ー介護の勉強をされていると伺いました。

今、介護職員初任者研修という資格取得のために学校に行っています。

取得した後は、訪問介護の仕事と工房の活動と並行してやって行こうと思っています。

介護の勉強をしようと思ったきっかけは、工房のお客様で介護のお仕事をしている方から「介護の人材が不足していて、ヘルパーさんが高齢化して、80 代のヘルパーさんが 80 代の方をケアしている。」っていうのをたびたび耳にしたことです。そこで、自分が資格を取れたら、身近な地域の中で困っている人のために私にもできるなという思いで動きました。

介護の問題とひきこもりの問題、8050 問題って切り離せない問題だと思っています。なので資格をとって活動していればいろんなところでいきてくるのかなと思っています。

ひきこもり当事者へのメッセージ

ーひきこもり当事者に向けたメッセージやお伝えしたいことを教えてください

20 代のころから、30 代前半でひきこもっていた時も、社会の中で自分の居場所がない、自分には生きている価値がないと思い詰めていた時期がありました。

その時にあるカウンセリングの方が言った言葉が、いつもどこかに引っ掛かっていました。それは「今は信じられないかもしれないけど、ずっとこのままの状態じゃないからね。」という一言でした。なので、もし、今希望とかなくしてしまったり、苦しんでいる方がいたら、そのメッセージを今度は、私からお届けしたいなって思います。

ー居場所を見つけたことから、ひきこもり状態から抜け出せたのは何故でしょうか

やっぱり声をあげること。自分が苦しいとか分かってもらえなくて、自分のこの苦しい気持ちを言うことで傷つくこともいっぱいありました。しかし、分かってくれる人に私は恵まれました。

今いる環境だけが、すべてではなくて、まだ出会えてない人たちもたくさんいます。こんな私のことを理解しようと耳を傾けてくれた、夫が一番なんですが。

でも、誰か分かってくれる人、支えてくれる人、応援してくれる人って世の中には絶対いると思います。

ーありがとうございます。助けを求めるってことが重要なのですね。

おやつの注文方法

ーおやつの注文方法を教えてください

インターネットだと、お取り寄せサイトの Creema からご注文いただけます。また、工房のサイトから直接メッセージでお問い合わせいただいて、そこからご注文ということもできます。気軽に、注文だけではなく、ひきこもっていてちょっと困っているというような内容でも大丈夫です。私は、いろんな家族会や地域の居場所でも活動しているので、何か情報提供ができたらと思います。

取材を終えて

登坂さんは過去にひきこもった経験があります。だからこそ、今では自分が好きだったおやつをきっかけにひきこもりや若者、障害者、高齢者と幅広く困っている人のために何かお菓子を通じてつながれたらと考えて行動していらっしゃいます。工房自体は自宅の 1 階なのですごく小さいのですが、登坂さんのこだわりがいっぱい詰まっていて可愛らしくて素敵なお店です。この記事を通してネットでのお菓子の注文や実際に店舗に足を運んでいただけたら幸いです。

お店の情報はこちらになります。
https://oyatsukobo-tosaka.studio.site/


今回の記事は以上となります。お読み頂きありがとうございました。

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この記事をつくった人

COMOLY
登録者
執 筆
COMOLYに登録して、色々な活動に参加。現在在宅ワークの幅を広めるため、日々修練中。
サポート対応
望月 理江
編 集
2019年末から運営メンバーに参画。ボランティア活動を通じて海外に滞在した経験から、英語が得意。映像系の仕事に詳しい。海と機材とお酒が好き。
Web系エンジニア
釼持 智昭
投 稿
ひきこもり経験6年半の元当事者。2019年7月からプログラミングを学び、 翌年1月に「COMOLY」を共同でリリース。以降、当事者目線で運営に携わる。