第6回COMOLYオンラインセミナー

公開:2020月12月3日
発行:COMOLY

海外で大人気! 豆本ドールハウス作家が語る趣味から副業そして起業に至るストーリー

講師:北野 有里子 氏
株式会社TOKYO NEEET



2020年11月11日、第6回COMOLYオンラインセミナーを開催しました。

講師は、 株式会社TOKYO NEEET、代表取締役北野 有里子きたのゆりこさんです。

テーマは、「豆本ドールハウスの世界とミニチュアの楽しみ方を学ぶ」。 手のひらサイズの「豆本」と「ドールハウス」を組み合わせた豆本ドールハウス。 趣味で始めた豆本造りが、ハンドメイドサイトで売れ始め、今では世界40カ国以上で販売しています。 豆本ドールハウスを思いついた背景、自分の作品が売れるようになった過程をお話していただきました。

今回の記事は、セミナーに参加して頂いたCOMOLY登録者 さんに原稿の執筆を依頼し、当事者の視点から内容の要点と感想をまとめて頂きました。

それでは、ご覧ください。



1. 豆本ドールハウスとは


360度くるっと開くと、ドールハウスになる手のひらサイズの絵本です。これまで50種類以上の豆本ドールハウスが製作されてきました。

2019年は世界49ヵ国に、完成品・製作キット合わせて4,000個販売してきた実績があり、国内外で注目されている商品です。

製作キットは、レーザーカッターでキットのパーツに切り込みが入っているので、初心者の方も安心して製作できます。

クローゼットの扉や小窓・トイレの蓋を開閉できたり、導電シールとLEDを使用してライトを点灯できる作品もあり、見つけるとつい嬉しくなる仕掛けが隠れています。



2. 豆本ドールハウスの楽しみ方


まずは実際に手にとってみて小さな豆本に凝らされたギミックに感動して欲しい。


そして、キットから自分で組み立てて、完成させる楽しさに夢中になったり 好きなドールや、推しキャラグッズと一緒に写真を撮り、SNSでシェアしたり クリスマスやハロウィンなど、季節に合わせてインテリアとして飾ったり 大切な人へ、その人好みの豆本をプレゼントして喜んでもらったり 楽しみ方もさまざまです。



3. 北野さんの生い立ち


北野さんは母親からの過干渉の影響で物心ついた頃からストレスが多く、常に緊張状態に置かれていました。

その反動でアトピー性皮膚炎を患い、中高生の頃の北野さんを苦しめました。ストレスとひどい痒みから無気力になり、毎朝の登校も億劫で休みがちでした。

「家に居たくない、学校にも居場所がない。とにかく苦しくて、なにもかもが嫌だった。」

そんな北野さんの心の支えになったのは高校1年生の春に出会った友達とのやりとりでした。その友達は、その後北野さんが辛いときに励まし助言をくれるとても大きな存在になります。


大学生時代、苦しかった実家から離れ、一人になれたときの開放感は今も忘れられないほどといいます。

同時に「あのまま実家に居たらどうなっていただろう…。」と想像し、過去に不登校になってしまった同級生のことが頭から離れられなくなったそう。


卒業論文で「学校は必要か?」というテーマで研究しながら教育実習も経験。「必要なときに必要なことを学べる場所があるのが理想。」という結論に。



4. 豆本との出会い


現在の豆本ドールハウスが完成したきっかけは、カルーセルというメリーゴーランド型に開く大きめのポップアップブックでした。

しかし、一から自作したいと思ってもサイズの大きい本は余白を絵で埋めるのが難しく、製作を諦めかけていました。

そんなとき、日経MJ(日経流通新聞)の当時の流行をピックアップするコーナーで豆本が紹介されているのを発見、そこで初めて北野さんは「豆本」の世界と出会います。


素晴しい利点の多さに惹かれひたすら製作に夢中になっていきます。それからワークショップへ通い、試行錯誤を重ね現在のドールハウスの形になりました。


5. 趣味から副業、起業までのステップ


当初の豆本製作は趣味の範囲でしたが、会社の同僚にブログで表現することを勧められ豆本ブログを始めます。

製作とブログを続けていくうちに、高円寺書林に声をかけられ委託販売を経験。

豆本フェスタ等のイベントに参加していき、活動の幅を拡げていきました。初めの頃はイベントがあることを知りつつもなかなか参加できなかった北野さん。

いざ参加してみると意外にもお客さんに好評で、それを機に自信をつけ積極的に参加していきました。

この頃は仕事も忙しく、仕事が辛くなると豆本が捗り、豆本に行き詰まると仕事を頑張るというサイクルでした。

社長から副業を咎められ、豆本活動を中断した時期もありました。


豆本で起業する以前、北野さんは印刷会社に勤めていました。

製作現場で5年、管理部門の計画室で7年、内部監察部で2年間勤められました。

紙や印刷、加工のことに詳しくなれたのは仕事の経験からだと言います。


現場にいた頃は残業100時間ベース、月間労働260時間・多い時は300時間と過酷な労働環境でした。人手も少なく仕事量も多いため辞めるに辞められず、北野さんの精神は蝕まれていきます。

言動が危うくなっていく様子を友達に心配され、


「心療内科で診断してもらって、適応障害と書いてある診断書を持っていろ」


「持ってたら、何かあったときに絶対クビにならないから!」


と、力強く助言をもらいます。


心療内科へ行き、すぐに診断書を書いてもらいました。

「すぐに診断書が出たということは、おかしかったってことかな。」と北野さん。


その後同僚が辞めたことで、2人分やっていた仕事量が3人分になり限界へ追い詰められます。


人事総務へ「もう無理です。」と診断書を提出、たまたま欠員があった管理部門の計画室へ異動できました。

管理部門は労働環境が良く、びっくりしたといいます。


文系だった北野さんは、出来ることがさまざまあり、任されていくうちに内部監査部の部長に就任されました。

当時管理職には女性が1人もいなかった会社でしたが、情報収集と段取り、根回しを駆使し徐々に認められていきます。

「道をつくりたい。」そう、強く思ったそうです。

その後、起業しようと思えたのも部長になれたことが大きなきっかけになりました。


6. 豆本ドールハウスの事業について


内部監査部部長になり、経営に近いところから会社を見ていくようになります。しかし、事業計画書の見方が分からず中小企業診断士に相談。

「理解したければ自分で作ってみること。」と言われ、テストケースとして豆本ドールハウスで事業計画書を作ってみることに。

そして、北野さんの学生時代からの思いの丈を込めて、事業計画書を完成させました。


社長を説得。

「副業が駄目なのは承知の上で、こういう意味のあることをやりたいんだ。」


開業届を提出し、「Etsy」という、ハンドメイド通販サービスでShop展開をスタートさせます。

その後「豆本ドールハウス」を商標登録し、印刷会社を退職します。

近年では、豆本を紹介した動画がネットで話題になりました。話題直後は注文量が跳ね上がり、ワンルームの家での作業だけでは、生産が追いつかなくなります。

自宅での作業では、作品にホコリが入る心配もあり、事務所を探し、東京インキュベーションセンターへ入居。その後、株式会社「TOKYO NEEET」を設立されました。



7. COMOLYとの出会いと今後の豆本ドールハウスについて


「家の中で全てが完結する生活を送りたい!」という夢を抱いていた北野さんは、COMOLYの「外で働くことをゴールにしない」という理念に、強く共感したそうです。


豆本製作で1番難しいのが、完成品を製作すること。

キットの袋詰めは作業が進みやすい一方、完成品の販売は寝る間を惜しんで製作しても、完全にお客さんをお待たせしている状態なのだそうです。

そこで、北野さんは本格的に外注して行こうと思い、COMOLYとの協力に繋がります。


「私ができることは消費者と生産者をつなぐため仕事をつくること。」


将来的には事務所を拡大して、会計やデザインの仕事なども体験してもらい、本人が求めるスキルを望むタイミングで習得できる場所にしていきたいと願われています。


「価値のあることをしているんだ。」と、常に意識できるような仕事を、北野さんはつくっていきたいと考えています。


セミナーに参加した筆者の感想

今回のセミナーの後日、豆本製作体験会にも参加させていただきました。

体験会に参加する前は「私には製作は難しいかもしれない。」とやや心配でしたが、作ってみると意外にも合っていたようで、最後まで楽しんで製作できました。

キットから自分で完成させた達成感は大きく、作った豆本を見るたびに嬉しくなります。

キットは、それぞれ作りやすさの難易度が設定されているので、


「1つ完成できたから、次は難易度を上げてみよう。」


と、ゲームのようにレベルアップしていく楽しみがあると思いました。



今回の記事は以上となります。お読み頂きありがとうございました。

読者の皆様は、どのように思われましたか?

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この記事をつくった人

Web系エンジニア
釼持 智昭
投 稿
ひきこもり経験6年半の元当事者。2019年7月からプログラミングを学び、 翌年1月に「COMOLY」を共同でリリース。以降、当事者目線で運営に携わる。
COMOLY
登録者
執 筆
データチェックなど事務系の仕事を得意とする。現在、豆本ドールハウスの製作に挑戦中。
サポート対応
望月 理江
編 集
2019年末から運営メンバーに参画。ボランティア活動を通じて海外に滞在した経験から、英語が得意。映像系の仕事に詳しい。海と機材とお酒が好き。