COMOLYの活動お知らせ

スタッフとして参加したCOMOLYワークキャンプ2025の意義を考える

COMOLYの活動

今年2月からCOMOLYでスタッフとして働いている桐山智子(のりこ)と申します。現在はキャリアカウンセラーとして、登録者の方々のカウンセリングやお仕事のマッチング、就職サポートなどを担当しています。

今回は、COMOLYワークキャンプ in 小淵沢をスタッフとして初めて参加した様子を記事にいたしました。

「COMOLYワークキャンプって何?参加して何が得られるの?」
私はスタッフとして参加したものの以下の2つが特に実感するものでした。

  • 他者との交流を楽しみつくすこと
  • 自分の体力・精神力が限界になった時の状態を知り、自覚し、自身で対応する方法を活かすこと

この2つを実感するまでの、私のワークキャンプ体験を振り返ってみたいと思います。

入職してまだ3ヶ月。地に足がついたとは言い難い状態でのワークキャンプ参加に参加しました。楽しみだけど、少し不安な気持ちでした。加えて前々日には、愛犬を預けに関西と関東を往復していたため、すでに疲れが蓄積し、睡眠時間も連日4時間ほど。スタッフとして体調管理は必須なのに、スタート時点で体力が心許ない。

【1日目:東京オフィスから「桐山号」で出発】


車内は終始おしゃべりが絶えず、初対面同士の緊張感もありつつ、何度か参加している登録者の方が話をしながら、自然に場を和ませてくれました。中でも、ひきこもり当事者でもある先輩スタッフ・ケンモチさんの「遠慮なく質問していく姿勢」に感銘を受けました。当たり障りのない質問ばかりしていた私は、「あ、こういうスタンスでいいんだ」と思えた瞬間でした。

【小淵沢に到着】


東京では散ってしまった、咲き誇る満開の桜に迎えられ、気温も景色も東京とは別世界。池にはおたまじゃくし、白樺や沙羅の木々。散策しながら自然の中でみんなが自由に過ごす空気が心地よかったです。
夕食はBBQ。「火起こし」では、慣れた方々の手際の良さに感動しつつ、自分ができることをしてみなで進められる一体感が心地よかった。普段自分では買わないような食材にテンションが上がり、殻付きエビを丸ごと焼いて食べるなど、新しい食体験にワクワクしつつ、ワークキャンプ最初の体験共有で、みなの距離が縮まっていくのを感じた夜でした。

【2日目午前:レクリレーション「天空カート」か「登山」か】

     

午前中は創造の森での観光レクリエーション。南アルプス、北アルプスが展望できる絶景の場所です。私はラクを選ぶつもりで「天空カート」に乗るつもりでしたが、急遽「登山」を選択。しかしこの選択は完全に誤算でした。前日の疲れが残った状態では、あとのことを考えて身体に無理をさせてはいけなかったのだ。でも、登山って楽しい、という発見をしてしまった。

【2日目午後:「いよいよ本番」竹林整備ワーク】


NPO法人タネとスプーンさんの「小淵沢てこファーム」にて、竹林整備・畑の開墾・ドッグラン作り。草木が生い茂り「どこから手をつけるの?」という場所だった。背の高い竹林の向こう側が見えないほど、壁のようにそびえたっている。そこへ、スタッフも入れたCOMOLYワークチームは16人が参加しました。みなキビキビと動いて、タネとスプーンの皆さんが感動するほど行動力でした。竹を伐採し、転がっていた竹の枝を切り落として、竹炭制作用にどんどん処理しいく。数時間で転がっていた竹の枝は落とされ、倉庫に収納されていく速さは圧巻だった。私も初めての「のこぎりワーク」が楽しくて、ついつい動きすぎてしまった。

【2日目夜:OSDよりそいネットワークさんのオープンダイアログワークショップ】

オープンダイアログについて触れる

今回は、「それぞれの近況について」がテーマだった。ひきこもりになった経緯や、趣味、最近あった事などをそれぞれ自由に語っていったのだが、2日目の夜ということもあり、かなり深い話となった。一日全てのワークが終わった後の時間で、それぞれがリラックスできる時間に話すことで、「自己開示」をするにはいいタイミングだったのではないかと思う。終わった後の、皆の前で話す緊張感から解放や、話せてよかったというホッとした表情がとても印象的な時間となった。


夕食後は、みんなでカードゲーム。昔、親戚が集まるとトランプで遊んだことを思い出し、童心に帰るような楽しさでした。それぞれの役割や立場など、そんなものはどこかへやって、純粋に「ただ遊ぶ」時間を過ごせることが、ワークキャンプならではの魅力だと感じました。

しかし、その夜は全く眠れず…。身体は疲れているはずなのに、アドレナリンが出ているのか眠れない。登山もして、枝も切って、身体は疲れ切っているはずなのに、なぜ?と不安になっていきました。

【3日目朝:身体の違和感と不安】

(少年自然の家での朝食準備風景)

朝起きると、不思議なことに身体の痛みがまったくありません。登山して竹を切って、筋肉痛になって当然なのに…おかしい。調べてみると、自律神経が乱れると、疲れや痛みを感じにくくなることがあるそう。納得はしたものの、「どうしよう、大丈夫かな」と心の中は不安でいっぱいだった。

【3日目:午前再びワーク、そしてジビエ料理】


午後も竹林整備。スタッフはもちろん、猟師の方や地元の人々が、昨日掘ったタケノコや畑で採れた野菜を使って、豪華な料理を用意してくれていました。中でも、シカ肉のソーセージやイノシシ汁といった「ジビエ料理」は人生初体験。スパイシーでクセがなく、美味しくいただきました。これだけの人数分を準備するのは大変だったはず。支えてくれる人がいるからこそ、私たちは思い切り動けるのだと実感しました。それぞれが自分のできることをして、一つのプロジェクトが進んでゆくことが感じられる歓び。これがワークキャンプの神髄ではないかと感じた瞬間でした。

ちなみに、このジビエを提供してくれた猟師さんは、元・ひきこもり経験者。YouTubeで猟の動画を見たことをきっかけに、自らも山へ入り、今ではジビエ商品を開発して販売するまでになったとか。聞けば聞くほど「すごい」の連続でした。

今回伐採した竹 30本〜40本は切ることができた

【3日目夜:最後のカードゲーム】

締めは、テレビでしか見たことのなかった「人狼ゲーム」に初挑戦。同じ役割同士で密かに共謀するスリルに、これまでにない楽しさを感じました。まさか自分がこんなに悪役になりきれるとは、新しい扉を開いてしまったようです。そして、寝食を共にしてきたメンバーだからこそ、楽しさも倍増したのだと実感しました。

でも、今夜はしっかり眠ることが最優先。長めに湯船に浸かったり、一人で過ごす時間を作ったりして、意識的に神経を落ち着かせる工夫をしました。その甲斐あって、ようやく眠ることができた時の安堵感…。これで明日は安全に車を運転して帰れる。任務完了です。

【4日目:畑の開墾と整備】

最終日は竹林の整備ではなく畑の整備をしました。稲科の雑草を根から抜いていき、里芋を植える場所は耕運機を使って土を耕しました。耕運機を使うのは初めての参加者も多く貴重な経験となりました。

【ワークキャンプからの考察】


カードゲームを通じた他者との交流の楽しさは、短時間では味わえないものだと実感しました。寝る前のゆるやかな会話、リラックスした空気感。それを通して「このメンバーの前なら話せる」という安心感が生まれるのだと思います。

今回の経験で、私が一番大きく学んだことは、「自分の限界に気づき、どう対処すればよいかを見つけられたこと」です。
私なりの対処法は、「無理をしない勇気を持つこと」でした。たとえば、あえて15分だけでも一人になれる場所を見つけて、いつものように一人でゆっくり考える時間を取るようにしました。そうすることで心が落ち着き、体も少しずつ回復したのか、眠ることができるようになりました。
きっと誰にでも、自分なりの「回復のスイッチ」があるはずです。私がそれを見つけられたことは、今後の自分にとって大きな成果でした。
また、実際に自分自身が限界を体験したことで、これからは、参加した方々が限界に近づいているかどうか、また、その壁を自力で乗り越えられるのか、それとも助けが必要なのかを、より見極められるようになるのではないかと感じています。次回のワークキャンプでは、この経験をしっかり活かしていきたいと思います。

ワークキャンプには、学びもあれば、喜びもあり、時には試練もあります。
 「自分だったら、どんな発見があるだろう?」
 「自分の限界って、どこなんだろう?」
 そんな問いを胸に、ぜひ一歩を踏み出してみてください。ご拝読、ありがとうございました。