前回の記事に引き続き、今回も当事者の方の為に書いて行こうと思います。
障害年金に関する役立つ情報を、出し惜しみせず記載していきますので、宜しくお願いします。
さて、前回は障害年金を申請する際の大まかな流れ等を解説しましたが、今回は、更に掘り下げていきます。
読者の方にも「自分に病気なんて無いんだけど?」
と、思われる方もいるかもしれません。
しかし、 “障害年金受給においては、医師がどう診断するかが、最も大事” です。
自分は病気はないと思う方も是非、今回の記事を切っ掛けに、障害年金の受給を1つの方法として模索してみてください。
障害とは何か?
「障害者」と聞くと、自分には縁がないと思いますが、例えばADHDという発達障害は、相当身近に感じられる症状だと思います。
例えば
・ゲームには集中できるが勉強には集中できない
・空気が読めず人付き合いが苦手
・集団行動が苦手
・すぐ疲れてしまう
・じっと座っていられない
・うっかりミスが多い
これらの症状は注意欠陥多動性障害(ADHD)の症状です。
「えっ?ほとんど当てはまるんだけど?」
と、思う方は病院に行って、これらの症状を伝えれば、ADHDと診断される可能性があるかもしれません。
朝起きれない、毎日やる気が起きない、毎日憂鬱だと感じるなどの症状はありませんか?
その場合は、精神科に行って、うつ病と診断される可能性があります。
「意外に、発達障害や精神疾患って、身近な存在なんだね。」と、感じていただいたら幸いです。
初診日要件
障害年金を貰うにはまず大前提として初診日要件をクリアしなければならないので、ちょっと話がつまらないと思いますが説明させてください。
初診日は、 前回の記事 で簡単に説明した通り 「障害の原因となった傷病について、初めて医師又は歯科医師(以下「医師等」という。)の診療を受けた日」 のこと。
例を挙げると、うつ病の治療をしている方が一番最初に病院に行った日です。
障害年金を申請する際に、その初診日における条件があり、 これをクリアしていないと障害年金を申請する権利も得られません。
その条件とは
障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法 – 日本年金機構
こちらに掲載の通りです。
わかりやすく言うと、
①20歳から初診日までの間に年金保険料を3分の2以上を支払っていたかどうか
②初診日までの1年間に滞納がないかどうか
こんな感じです。
正確に言うともっと細かくなりますが、自分では要件に該当しているかどうか確実にわかることが出来ないので、もし少しでも滞納期間がある方は年金事務所等に問い合わせて記録を照合したほうが安全です。
一応、「ねんきんネット」という自分の年金記録を調べられるサイトもあるので、毎年送られてくる「ねんきん定期便」のアクセスキーを使いログインして簡単に確認することも出来ます。
いつが初診日なのかわからない
実はこの初診日。 自分が初診日だと思っていた日が、実は間違っていて障害年金の申請をやり直しさせられる面倒な事態になったりもします。
例えば、統合失調症の診断を受けた病院に初めて行った日を初診日と思っていたら、実はその前に適応障害で通院していた病院が初診日だったり。
これは、元々の適応障害が起因して統合失調症になったという考え方で、現在の病気と関連性があると、遡って初診日と判断されます。
ややこしいですよね…
この初診日の年金納付状況で障害年金が貰えるかどうかの条件を見るので、まず最初にハッキリと確定しておきたい事項です。
申請できるのは初診日から1年半後
病気と診断されてから、すぐに障害年金が申請できるわけではなく、初診日から1年半後(障害認定日)となります。
月に1、2回通院し続けることになるので、ひきこもり当事者にとって、この作業が最も面倒に感じるかもしれません。
もし昔から通院し続けていて、障害認定日が昔にある人であれば、その時点からの障害年金を遡及申請できます。
その場合、障害年金は最大5年分まで遡って貰えるので、多い人は約500万円程が一度に貰える可能性が出てきます。
医師が作成する診断書対策
障害年金を貰うには当然ながら障害年金の基準に該当する必要があります。
様々な病気があり、程度にもよるので「〇〇なら障害年金貰えるよ!」とは一概に言えません。
しかしながら実は「精神疾患」で障害年金審査をされる際、全てに共通した事項があります。
それは、
「日常生活状況」
要するに、その病気や障害は生活をする上で、どの程度の影響が出ていますか?ということ。
当然と言えば当然ですよね。
例え、「社会不安障害」と診断されたとしても、ちゃんとフルタイムで仕事ができて、一人で生活できている人に、障害年金というサポートは不要ということです。
その病気や障害によって生活に相当な支障が出ている状態をサポートしてくれるのが障害年金と思って良いと思います。
日常生活状況は、医師が作成する診断書に記載されます。
ちなみに日常生活状況の記載例はこちら。
(1)~(7)項目あります。
これを医師が判断して記入するわけです。
普段からちゃんと話を聞いてくれる医師であれば正確に伝えられているかもしれませんが、毎回5分診療で、ちょっと話して終わりというケースもよく聞くので、よくわかっていない医師も多いんじゃないか?と、心配になりますよね。
ただし、これは逆に言えば、こちらがしっかり伝えていれば診断書に反映してもらえる可能性も高いということ。
この診断書対策が障害年金審査において相当重要なミッションとなります。
障害年金審査は点数が大事?
先程の日常生活状況の記載例でチェック項目がありましたが、実はこれは点数に変換されます。
【1点】できる
【2点】おおむねできるが時には助言や指導を必要とする
【3点】助言や指導があればできる
【4点】助言や指導をしてもできない若しくは行わない
この合計を7で割った平均点が目安の点数です。
例えば先程のケースですと全て4点を獲得してるので平均点も4点。
点数がわかったら次は「日常生活能力の程度」項目を見てみます。
こちらの記載例では(5)になっています。
そして最後に、障害等級の目安の表に照らし合わせてみましょう。
判定平均4.0で(5)は一番左上の欄となるので1級に該当する可能性があるということですね。
ただし、これはただの目安で、これだけで障害年金の支給・不支給、等級が決まるというわけではありませんが、審査する側が参考にする基準なので、高いに越したことはありません。
特に審査する側の方々は、提出された書類だけで審査するので、病気や障害の方を全て書類を通して理解します。
それが医師一人で作成する診断書に委ねられているのですから、診断書にどう書かれるかどうかの対策は必須だと思います。
嘘は絶対ダメ
対策は必須だと言いましたが、嘘は絶対やめてください。
例えば実際は一人で余裕で生活できているのに、全くできないフリをしたり。
確かに嘘をついて障害年金貰っている人もいるようですが…
「でも普通に生活できていること伝えたら日常生活のところで点数稼げないでしょ?」
と、心配になりますよね。
そこで僕がオススメするのは【強調】という手段。
例えば、ひきこもっている時って外にも出かけないし、気付いたら数日間シャワーするの忘れてたり、何日も服を着替えてなかったりすることってありますよね?
その時は医師に「シャワーもせず何日間も同じ服を着続けている」と、衛生面で問題があることを伝えましょう。
更に部屋を片付けることが出来ず、ゴミ屋敷化していることも伝えると尚更GOODです。
このように、日常生活で出来ていない部分だけを切り取り、強調して医師に伝えていくことで、診断書に反映してもらえる可能性を高めていきます。
ひきこもり期間は有利になる
社会生活が出来ないという点で、ひきこもり期間は障害年金審査に有利になることがあります。
あなたのひきこもってきた期間は決して無駄ではなく、障害年金審査において貴重な実績なのです。
個人的な考えですが、ひきこっているのは甘えではなく、社会で生きていく環境が本人の特性と合致しないのだから、それだけで金銭的な社会保障を受けられるべきだと思っています。
現在は、ひきこもり状態というだけでは経済的なサポートは受けることはできませんが、もし発達障害や精神疾患に当てはまる可能性があれば、 障害年金という選択肢を考えるのは有効かと思います。
読んでいただき、ありがとうございました。