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【人手不足の解消】キャリアアップ助成金を活用して、ひきこもり経験者の積極的な採用を考える

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企業活動において、成長に欠かせないのが人材育成ですが、人材育成には多くの費用が必要です。本記事では、ひきこもり経験者や非正規雇用労働者(派遣労働者、パート・アルバイト)の採用時に活用できるキャリアアップ助成金について、その条件や利用方法等についてご案内します。

助成金を活用して人材採用を行いたいという方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

キャリアアップ助成金とは?誰が貰える?

キャリアアップ助成金は、厚生労働省が管轄する助成金で、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といった、非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、労働者の正社員化、または処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成金を支給する制度です。

全部で5つのコースがあり、最大で120万円まで助成金が支給されます。

コース名概要最大助成金額
 正社員化コース 有期雇用労働者等を正社員化80万円
障害者正社員化コース障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換120万円
賃金規定等改定
コース
 有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を改定し3%以上増額 6.5万円
 賞与・退職金制度導入コース 有期雇用労働者等を対象に賞与または退職金制度を導入し支給または積立てを実施40万円
社会保険適用時処遇改善コース有期雇用労働者等を新たに社会保険に適用させるとともに、
収入を増加させる
50万円

参考:厚生労働省「キャリアアップ助成金」

キャリアアップ助成金の条件を解説

キャリアアップ助成金には、各コースにそれぞれ条件がありますが、まず事業主が条件を満たしていないと申し込むことができません。ここでは、全コース共通となる事業主の条件について解説します。

キャリアップ助成金の対象となる事業主の条件

  • 雇用保険適用事業所であること
  • 雇用保険事業所ごとにキャリアアップ管理者を置いていること
  • 実施するコースの対象労働者の労働条件、勤務状況および賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備し、賃金の算出方法を明らかにすること
  • キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主

また、中小企業事業主の範囲については下記のように定められています。

小売業(飲食店を含む)5,000万円以下 または50人以下
サービス業5000万円以下 または100人以下
卸売業1億円以下  または100人以下
その他の業種3億円以下 または300人以下

<常時雇用する労働者>
2か月を超えて使用される者(※1)であり、かつ、週当たりの所定労働時間が当該事業主に雇用される通常の労働者と概ね同等(※2)である者をいいます。
※1 実態として2か月を超えて使用されている者のほか、それ以外の者であっても、雇用期間の定めのない者および2か月を超える雇用期間の定めのある者を含む。
※2 現に当該事業主に雇用される通常の週当たりの所定労働時間が40時間である場合は、概ね40時間である者をいう。

条件を満たしていない場合は、申請しても承認されることは難しいため、申請前に条件に該当するかを確認するようにしましょう。

キャリアアップ助成金の正社員化コースとは?

キャリアアップ助成金では、特に正社員化コースの助成金額が多くなっています。ここでは、キャリアアップ助成金の正社員化コースについて解説いたします。

正社員化コースには、「正社員化コース」と「障害者正社員化コース」の2種類のコースがあります。

正社員化コースとは

「正社員化コース」では、就業規則または労働協約その他これに準ずるものに規定した制度に基づき、有期雇用労働者等を正社員化した場合に助成します。

対象者の条件

正社員化コースの対象者は、以下の条件を満たしている必要があります。

  • 6か月以上受けて雇用される有期雇用労働者、または無期雇用労働者
  • 正規雇用労働者として雇用することを約して雇い入れられた有期雇用労働者等でないこと。
  • 正社員化を行った適用事業所の事業主または取締役の3親等以内の親族以外の者であること

その他、詳しい条件については、厚生労働省「キャリアアップ助成金のご 案 内(令和6年度版)」をご確認ください。

支給額

正社員コースでは、正社員として雇用をし、6か月を経過するごとに、2回まで支給を受けることが出来ます。

企業規模/正社員化前雇用形態有期雇用労働者無期雇用労働者
中小企業80万円(40万円×2期)40万円(20万円×2期)
大企業60万円(30万円×2期)30万円(15万円×2期)

加算額

特定の条件を満たした場合は、支給額に加えて一定の補助金額が加算されます。

派遣労働者を派遣先で正社員として直接雇用する場合285,000円
対象者が母子家庭の母等または父子家庭の父の場合95,000円(有期)
47,500円(無期)
人材開発支援助成金の訓練修了後に正社員化した場合
(自発的職業能力開発訓練または定額制訓練以外の訓練修了後)
95,000円(有期)
47,500円(無期)
(自発的職業能力開発訓練または定額制訓練修了後) 110,000円
55,000円
正社員転換制度を新たに規定し、当該雇用区分に転換等
した場合(1事業所当たり1回のみ)
20万円(大企業 15万円)
多様な正社員制度(※)を新たに規定し、当該雇用区分
に転換等した場合(1事業所当たり1回のみ)
※ 勤務地限定・職務限定・短時間正社員いずれか1つ以上の制度
40万円(大企業30万円)

障害者正社員化コース

障害者正社員化コースは、障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等(勤務地限定正社員・職務限定正社員・短時間正社員を含む)へ転換した事業主に対して助成されます。通常の正社員化コースと違い、障害の重さによって金額が異なってきます。

対象者の条件

障害者正社員化コースの場合は、以下の条件を満たしている必要があります。

  • 申請事業主に雇用される労働者であること。
  • 転換を行った日の時点で、次のいずれかに該当する労働者であること。(1)身体障害者 (2)知的障害者 (3)精神障害者 (4)発達障害者 (5)難病患者(6)脳の機能的損傷に基づく精神障害である高次脳機能障害であると診断された者
  • 就労継続支援A型事業における利用者でないこと。

その他、詳しい条件については、厚生労働省「キャリアアップ助成金 (障害者正社員化コース)の ご 案 内」をご確認ください。

支給額

障害者正社員化コースでは、障害者の雇用を促進するとともに職場定着を図るために、次の①または②のいずれかに該当する措置を継続的に講じた場合に最大で120万円を助成します。

① 有期雇用労働者を正規雇用労働者(多様な正社員を含みます)または無期雇用労働
者に転換すること
② 無期雇用労働者を正規雇用労働者に転換すること

支給対象者措置内容支給総額支給対象期間各支給対象期における支給額
重度身体障害者有期雇用から正規雇用への転換120万円 (90万円)1年 (1年)60万円 × 2期 (45万円 × 2期)
重度知的障害者有期雇用から無期雇用への転換60万円 (45万円)1年 (1年)30万円 × 2期 (22.5万円 × 2期)
精神障害者無期雇用から正規雇用への転換60万円 (45万円)1年 (1年)30万円 × 2期 (22.5万円 × 2期)
重度以外の身体障害者有期雇用から正規雇用への転換90万円 (67.5万円)1年 (1年)45万円 × 2期 (33.5万円 × 2期) ※第2期の支給額は34万円
重度以外の知的障害者有期雇用から無期雇用への転換45万円 (33万円)1年 (1年)22.5万円 × 2期 (16.5万円 × 2期)
発達障害者有期雇用から無期雇用への転換45万円 (33万円)1年 (1年)22.5万円 × 2期 (16.5万円 × 2期)
難病患者無期雇用から正規雇用への転換45万円 (33万円)1年 (1年)22.5万円 × 2期 (16.5万円 × 2期)
高次脳機能障害と診断された者無期雇用から正規雇用への転換45万円 (33万円)1年 (1年)22.5万円 × 2期 (16.5万円 × 2期)

https://www.mhlw.go.jp/content/001239639.pdf

キャリアアップ助成金の申請方法

続いて、キャリアアップ助成金の申請方法について解説します。キャリアアップ助成金については、各コースの実施日の前日までに所定の様式でキャリアアップ計画を作成し、提出することが必要です。

実施日とは、こちらが任意で決めた日付で、コースの内容に取り組み始める日付となります。

キャリアアップ計画については、厚生労働省のページにあるキャリアアップ計画書に記載をしましょう。記載する際は、「有期雇用労働者等のキャリアアップに関するガイドライン」を参考にしてください。

キャリアアップ助成金正社員化コースの注意点とは

キャリアアップ助成金正社員化コースは、上手くつかうことができれば大変便利な制度ですが、いくつか注意点があります。ここでは、特に気を付けて欲しいポイントを紹介します。

法令を尊守している

キャリアアップ助成金を活用するためには、労働関係の法令や社会保険関係の法令を尊守している必要があります。法令に基づく手続きを滞りなく行っていること、また賃金の支払いや雇用契約書、出勤簿、賃金台帳等の作成、管理を適切に行っていないと、申請に通らない可能性があります。

条件等が明示されている

正社員化コースの場合は、条件の明示が必要です。具体的には、労働協約、または就業規則やこれに準ずるものに、コースのための面接試験や筆記試験に関する手続き、勤続年数、人事評価結果といった条件、および実施時期が明示されている必要があります。明示が欠けている場合は、対象外となります。

正規雇用の条件が異なる

正社員化コースの場合は、就業規則に基づいた転換が条件ですが、転換後の条件が就業規則のさだめとことなる場合は対象となりません。例えば、労働時間が就業規則の定めより短い、休日が就業規則と異なるなど、就業規則に定めた規定を守らない雇用契約を行うと、申請不可となるので注意しましょう。

キャリアアップ助成金と組み合わて使える!!東京都正規雇用等転換安定化支援助成金とは

キャリアアップ助成金は、それだけでも大変便利な助成金ですが、東京都に事業所がある場合は、東京都正規雇用等安定化助成金を併用し、さらに助成を受けることができます。

東京都正規雇用等転換安定化支援助成金とは

東京都正規雇用等転換安定化支援助成金は、キャリアアップ助成金の正社員化コースの交付決定をうけた事業者に対して、追加で東京都から助成金を支給する制度で、最大60万円まで助成を受けることができます。

交付要件

交付をうける事業主は、以下の要件を満たす必要があります。

  • 東京労働局管内に雇用保険適用事業所があること。
  • 令和3年4月1日以降に交付対象労働者を転換等し、東京労働局長がキャリアアップ助成金(正社員化コース)の交付決定をしていること。
  • 交付申請日時点で、キャリアアップ助成金(正社員化コース)で転換等した交付対象労働者が在職し、支援(※)可能な状況であること。
    ※支援とは、下記【3 支援事業及び加算制度の実施】事業のことをいいます。

労働者については、以下の条件を満たす必要があります。

  • 正社員化コースの交付対象となった労働者であること
  • 令和3年4月1日以降に都内事務所(※)において転換等された労働者であること。(「東京都正規雇用等転換安定化支援助成金」交付決定を受けている同一の対象労働者は本助成金の対象とはなりません。)
    ※「事務所」とは、雇用保険適用事業所を含め、実際に労働者が勤務する事務所(出張所・営業所・店舗等を含む。)をいいます。
  • 支援期間の末日において有期雇用労働者(期間の定めのある労働者をいう)でないこと。

交付金額

東京都正規雇用等転換安定化支援助成金は、基本的な助成金額として一人20万円から助成をうけることができ、加算も合わせると最大で約100万円を受け取ることができます。

助成金額

対象労働者数金額
一人20万円
二人40万円
三人以上60万円

※本助成金の申請は1年度につき1事業所3回を限度とします。ただし、交付上限額は1年度につき1雇用保険適用事業所60万円です。
※東京労働局長より正社員化コースの交付決定を受けた対象労働者が4人以上いる場合、都への申請にあたっては、3人以内の範囲で労働者を選び申請してください。

※撤回届提出期限後は対象労働者の変更や追加はできません。また、同期限後に事業計画を中止した場合は、年度内の申請回数にカウントされ、交付したものとみなします。

退職金制度整備加算

支援期間中に、新たに退職金制度を整備し、就業規則(退職金を含む)を労働基準監督署へ届け出た場合、又は新たに中退共制度に事業主として加入した場合、上記1に定める金額に10万円を加算します。

結婚・育児支援制度整備加算

支援期間中に、結婚、妊娠・出産、育児に関する休暇や一時金制度を整備し、就業規則(退職金規程を含む)を労働基準監督署へ届け出た場合、上記1に定める金額に10万円を加算します。

賃上げ加算

支援期間中に、対象労働者の時間単価を30円以上賃上げした場合、上記1に定める金額に下記に定める金額を加算します(1人6万円、最大3人)。

賃上げ対象者数金額
一人6万円
二人12万円
三人18万円

申請の流れ

東京都正規雇用等転換安定化支援助成金の申請の流れを解説します。なお、申請は郵送、または電子申請にて受け付けています。

電子申請については、Jグランツというシステムから行う必要があり、Jグランツの利用には、GビズIDが必要となります。(GビズIDの取得には、2~3週間の期間が必要です。詳しくはこちら

①東京都正規雇用等転換安定化支援助成金を受給するには、まずキャリアアップ助成金の支給決定通知書を受領する必要があります。

②事業実施計画書兼交付申請書をホームページから取得のうえ、交付申請受付期間内に提出します。なお、令和6年度については、第一回から第六回で申請受付期間等が決まっていますので、注意しましょう。


申請回交付申請受付期間支援期間実績報告受付期間
第1回5月1日(水)~5月31日(金)7月1日~9月30日10月1日(火)~10月25日(金)
第2回6月1日(土)~6月30日(日)8月1日~10月31日11月1日(金)~11月25日(月)
第3回7月1日(月)~7月31日(水)9月1日~11月30日12月1日(日)~12月25日(水)
第4回8月1日(木)~8月31日(土)10月1日~12月31日1月1日(水)~1月25日(土)
第5回9月1日(日)~9月30日(月)11月1日~1月31日2月1日(土)~2月25日(火)
第6回10月1日(火)~10月31日(木)12月1日~2月28日3月1日(土)~3月18日(火)

③申請内容に基づき、審査が実施されます。審査期間は、各回の受付期間から一ヵ月程度となっており、終了後に交付決定通知書を送付します。

④交付決定後は、三ヵ月の支援期間に入ります。

⑤正規雇用等転換安定化支援助成金実績報告書を提出

⑥正規雇用等転換安定化支援助成金振込

東京都正規雇用等転換安定化支援助成金のキャリアアップ取り組み事例

東京都雇用等転換安定化支援助成金について、実際のキャリアアップ取り組み事例について紹介します。

介護事業において契約社員から正社員への転換事例

介護事業において、契約社員を正社員化した事例を紹介します。当該事業所では、研修会の参加やメンターによる業務指導を通じて、対象者のスキルアップを実現んしました。介護技術の習得に加え、正社員として必要な後進への助言、指導、教育といった業務の習得に努め、キャリアアップをサポートしました。

飲食業におけるアルバイトから正社員への転換事例

飲食業において、アルバイトから正社員へと転換した事例について紹介します。当該事業所では、マニュアル化により業務を平準化し、評価シートによる振り返りを実施しました。また、メンターによる業務指導や、チーム研修の実施により、管理能力の成長を促しました。

開発会社における契約社員から正社員への転換事例

開発会社において、契約社員から正社員への転換事例を紹介します。当該事業所では、資格取得や技術習得を通じてスキルアップを図るとともに、実務の中での訓練、リーダーポジションの経験を通じて、プロジェクトリーダーとしての資質を成長させるようにサポートしました。

ひきこもり経験者の採用で助成金を活用

内閣府の調査によると、現在国内にはひきこもり状態である方が146万人存在しています。

COMOLYでも2024年7月時点で1700名の方が登録していますが、そのうち2割の割合で外で働くことができる方もいらっしゃいます。これまでCOMOLYから37名の方が就労しており、そのうち直接企業にお繋ぎしたケースも何件もございます。

いきなり正社員での採用は双方にとって難しいかと思いますが、まずは週2、3日のパート・アルバイト勤務で仕事や環境に慣れていただき、半年から1年くらいかけて正社員雇用に切り替えることをおすすめしています。

もちろんキャリアアップ助成金を活用できます。また障害者手帳を取得している場合は、障害者正社員化コースも対象となります。

COMOLYでは、助成金を活用した人材活用の相談も受け付けています。ひきこもり経験者の採用をお考えの方は、ぜひ一度お声掛けください。

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まとめ

本記事では、キャリアアップ助成金や、東京都正規雇用等転換安定化支援助成金について紹介しました。助成金を活用して採用や人材育成を行いたいという企業は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。